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ピロリ菌陽性・ピロリ菌感染症

ピロリ菌陽性と指摘された方へ

ピロリ菌陽性・ピロリ菌感染症について

健康診断や人間ドック、あるいは他院での胃カメラ検査でピロリ菌陽性と指摘され、不安を感じていませんか?

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に長期間棲みつき、慢性的な炎症を引き起こす細菌です。

放置すると、萎縮性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、さらには胃がんのリスクを高めることが知られています。

重要なのは、ピロリ菌がいるかどうかだけでなく、現在の胃の状態を正確に確認することです。

当院では、まず胃カメラ検査で胃粘膜の炎症の程度や、胃がんの有無を確認したうえで、必要に応じてピロリ菌検査・除菌治療を行っています。

また、患者さまの負担をできる限り抑えた苦痛の少ない胃カメラ検査を行っています。胃カメラに不安のある方も、まずはお気軽にご相談ください。

なぜ除菌の前に胃カメラ検査が必要なのか

ピロリ菌陽性と分かった場合、まず重要なのは現在の胃の状態を確認することです。

ピロリ菌検査だけでは、以下の項目までは分かりません。

  • 胃炎がどの程度進んでいるか
  • 萎縮性胃炎や腸上皮化生があるか
  • すでに胃がんが発生していないか

特に、萎縮性胃炎や腸上皮化生は、胃がんの発生母地になることが知られています。

そのため、ピロリ菌陽性を指摘された場合には、まず胃カメラ検査を受けることをおすすめしています。

また、日本の保険診療では、胃カメラで胃炎などを確認したうえで除菌治療を行うことが原則となっています。

ピロリ菌感染症とは

ピロリ菌(正式名称:ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に感染する細菌です。

通常、胃の中は強い胃酸によって細菌が生きられない環境ですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を分泌し、アンモニアを作ることで胃酸を中和して生き続けています

一度感染すると、除菌治療を行わない限り、何十年にもわたって胃に棲み続けます。

その結果、慢性的な炎症が続き、胃粘膜が徐々に傷ついていきます

ピロリ菌はどうやって感染するの?

ピロリ菌は、主に免疫が未熟な幼少期に感染すると考えられています。

以前は、上下水道が十分に整備されていなかった時代に、井戸水などを介して感染したケースが多かったとされています。

現在では衛生環境の改善により若い世代の感染率は低下していますが、家族内感染(食べ物の口移しなど)が感染経路の一つと考えられています。

一方で、成人後に日常生活で感染することはまれとされています。

年代別のピロリ菌感染率

日本では、若い世代ほどピロリ菌感染率が低く、50歳以上では感染率が高いことが知られています。

当院からのひとこと解説

10〜30代では感染率は比較的低い一方、40〜50代以降では感染率が高くなる傾向があります。

ピロリ菌感染は、長期間にわたり胃粘膜に炎症を起こし続けるため、将来の胃がん予防の観点からも、胃カメラ検査やピロリ菌検査が重要になります。

※参考 Kamada T, et al. Helicobacter. 2015;20(3):192-198 を参考に作成

ピロリ菌が引き起こす主な病気

ピロリ菌の感染を放置して慢性的な炎症(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)が続くと、胃の粘膜が薄くなる萎縮性胃炎へと進行し、さまざまな病気の引き金になります。

  • ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎(萎縮性胃炎)
  • 胃ポリープ(過形成性ポリープ)
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • 胃がん
  • 胃MALTリンパ腫

ピロリ菌と胃がんの発症リスク

胃がんの多くは、ピロリ菌感染と関連していると考えられています。

慢性的な炎症によって胃粘膜の萎縮が進行すると、胃がんが発生しやすい状態になります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃炎などの患者さん1,526人を対象とした研究では、平均7.8年間の経過観察で、ピロリ菌に感染していない人では胃がん発生が0%だったのに対し、ピロリ菌感染者では約2.9%に胃がんが発生したと報告されています。

当院からのひとこと解説

この研究では、ピロリ菌陰性群では胃がんの発生は0%でした。一方、ピロリ菌陽性群では約2.9%に胃がんが発生しています。

ピロリ菌感染の有無を確認することは、将来の胃がんリスクを考えるうえで重要です。

参考 Uemura N, et al. N Engl J Med. 2001;345:784-789 を参考に作成

胃がんリスクを低減する除菌治療

ピロリ菌を除菌することで、その後の胃がん発生率を低下させることが期待されています。

当院からのひとこと解説

日本の研究では、ピロリ菌除菌を行わなかったグループでは、3年間で約9.6%に新たな胃がんが認められた一方、除菌を行ったグループでは約3.5%に抑えられました

ただし、ここで大切なのは除菌成功が胃がんリスクをゼロにするわけではないという点です。すでに胃粘膜にダメージが残っている場合、除菌後も胃がんが隠れて育つリスクは残ります。

そのため当院では、除菌して終わりではなく、除菌後の定期的な胃カメラフォローを重視しています。

参考 Fukase K, et al. Lancet. 2008;372:392-397 を参考に作成

このような症状がある方はご相談ください

  • 健康診断や人間ドックでピロリ菌陽性と言われた
  • 身内や家族に胃がんになった人がいる
  • 胃もたれ、みぞおちの痛みが慢性的に続いている
  • 胸やけや、胃の不快感、食欲不振がある

ピロリ菌の検査から除菌治療、その後の流れ

  1. 胃カメラ検査
    保険診療でピロリ菌検査・除菌治療を行うためには、まずは胃カメラで胃粘膜の状態を確認し、胃炎の診断が必要です。詳しくは胃カメラのページへ
  2. ピロリ菌検査
    当院では血液検査(ピロリ抗体検査)や便中ピロリ抗原検査を行い、ピロリ感染症の有無を確認します。
  3. 1次除菌治療
    胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質を7日間服用します。1次除菌の成功率は80〜90%前後です。7日間しっかり飲み切ることが重要です。
  4. 除菌効果判定
    服用終了から一定期間後、便中ピロリ抗原検査で除菌できたか判定します。
  5. 2次除菌治療(不成功の場合)
    1次除菌で不成功だった場合は、抗生物質の種類を変更して再度治療を行います。2次除菌まで健康保険適用となります。

除菌治療の副作用について

除菌治療中には、以下のような副作用がみられることがあります。

  • 蕁麻疹
  • 下痢・軟便
  • 肝機能異常
  • 味覚異常

多くは軽度ですが、全身に広がる発疹や強い症状がある場合は、すぐにご相談ください。

また、除菌後は胃酸分泌が回復することで、逆流性食道炎の症状が一時的に悪化することがあります。

よくある質問

Q. ピロリ菌を除菌すれば胃がんにはなりませんか? 除菌によって胃がんリスクは低下しますが、ゼロにはなりません。除菌後も定期的な胃カメラ検査をおすすめしています。
Q. ピロリ菌陽性なら必ず除菌したほうがいいですか? 多くの場合、将来の胃がん予防のために除菌が推奨されます。ただし、年齢や胃の状態によって判断が異なることもあるため、医師と相談して決定します。
Q. 除菌治療中にお酒は飲めますか? 除菌期間中の飲酒は控えてください。副作用が出やすくなったり、除菌成功率が低下する可能性があります。
Q. 一度除菌すると再感染しますか? 大人の再感染率はまれとされています。ただし、除菌判定を正確に行うことが大切です。

監修医師情報

本ページは医師が監修しています。

吉澤 尚彦
いのうクリニック 院長

主な資格・専門医 医学博士
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 認定消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本内科学会 総合内科専門医
学歴 三重大学医学部卒業
三重大学大学院卒業
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